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俺は、風呂から出ると、急いでパジャマを着込み、
物音の方へと向かっていた。
そっとリビングを覗くと、
そこには、知らない男がナイフを持って立っていた。
「……見つけた」
笑って見えた歯が怖かった。目の焦点も合っていない。
風呂の方から来たので、玄関からは離れていた。
自分の部屋も、男の向こうであった。
塩冶の部屋に逃げこもうとすると、鍵がかかっていた。
風呂しかないか。
風呂場に走り込み、中から鍵をかける。
ドアを蹴り飛ばす音が、幾度も響いていた。
そんなに頑丈なドアではない。
蹴り破られる前に、浴室へと移動した。
浴槽の横にはドアがあり、ベランダの庭園へと抜けられる。
風呂が露天気分を味わえるようにと、
塩冶の好みで造られていた庭園であった。
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