第三章 樹神の森

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 再び玄関で物音がしたが、 今度は、聞き慣れた塩冶の足音であった。 塩冶は、俺の部屋を見てから、風呂場へと進んでいた。  風呂場に来ては危ない。 「塩冶さん!風呂場に変な男が居るから、来てはいけない!」  俺の声に、男が俺の居るベランダを見た。 俺も男を見て、そこが、絵の中の樹神の森だと分かった。 泥土、光の射さない深い森。 「そんなところに、窓があったのか」  笑って、涎が流れていた。 「薬師神君!」  塩冶は、風呂場に入り、浴室の扉を開けた。 その時、男は水に溺れるように、沈み始めていた。 「うわあ、これは何だ。助けて!助けて!」  底なし沼のようであった。 その光景は、塩冶にも見えているようであった。
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