第一章 過去からの手紙

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 俺がクッキーを焼くと、胃薬になる。味は クッキーなのだが、効能が出てくる。 他に、精神安定剤のようにもなる。 「えんきり屋では、クッキーを売れますよ。 胃薬としてね」 「胃薬として売るつもりはありません!」  クッキーは、クッキーとして売りたい。 それで癒しになったとしても、 俺だけが焼ける味では、商売にはならないだろう。 俺もいつもまでも、えんきり屋に居る訳ではない。 「役立たずですね……」  元ぬいぐるみで、座っていただけの奴に言われたくない。 「人探し、しています」 「まあ、遠視の範囲ですよね。 後は塩冶様がフォローしている」 「!!」  桐生は、痛いところを突いてくる。 多分、桐生は自分が居なくなった時のことを、心配しているのだろう。 それは、分かっているが、言い方もある。    口論しながら森のくまに到着すると、 店主の善家 芽実(ぜんけ めぐみ)が心配そうに見ていた。 俺は、薬師神という亡くなった親の名字を使用しているが、 叔父の善家 安廣(ぜんけ やすひろ)の養子でもある。
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