第一章 過去からの手紙

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 芽実は、血は繋がっていないが、母親でもあった。 「おはようございます。芽実さん」  最近、芽実は安廣と結婚したのだ。 俺も、最近、養子となった。 赤ん坊から育ててもらったが、今更、母親とは呼びにくい。 「喧嘩しないようにね」  桐生とは十歳程、年が離れている。 喧嘩というものではない。  早朝の森のくま、ここでパンを焼くのが、俺の日課であった。 六時半には客が並び始め、七時頃には朝のピークが始まる。 六時過ぎには、店頭にパンがなければいけない。  走りながら荷物を運び、 パンを焼いている最中に次のパンの生地を準備する。 慌ただしい朝であった。
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