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左腕に顔を乗せたまま右手でカチカチとシャーペンの音を鳴らしてはしまい、鳴らしてはしまい……
相手をしてくれない由奈にがっかりした。
「あ~つまんないの。」
また、そう呟くとそれをそのまま机に書いた。
‘あ~つまんないの。’
ノートに書くのと机に書くのとはシャーペンの滑らかさが違う。
『こらっ。』
ポカッ!
「きゃっ!」
柔らかい何かで叩かれると私は慌てて起き上がった。
『俺の授業中に寝るとはいい度胸だな。』
「榎本先生!ご、ごめんなさい!」
榎本先生の手には教科書がくるりと丸めて手中に収まっていた。
『佐倉、ちゃんと勉強しとかないと来年の受験で困るのはお前だぞ。』
「はぁ~い。」
少しシュンとした顔を見せると榎本先生は隣のテーブルへと移った。
『ほらみなさいよ~。イケメン榎本に怒られた。』
「もう!由奈のいじわる!」
そう、理科の教科担任の榎本要(えのもとかなめ)先生は無駄にイケメンなのだ。
だから一部の女子に人気があるらしい。
ま、あたしは教師と生徒の禁断ラブなんて求めてないからいいんだけど。
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