怪盗バレンタイン

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急いで、開けっぱなしの窓から出た。 するとそこにはなぜか、か弱そうな女の子が座っていた。 男にとってそれは予想外のことだった。 高校生くらいだろうか、こんな冬の真夜中に体の線が見えそうなくらい薄着で、ただ寒そうに身を小さく縮めている。 どうしてこんな所で座っているのか、男は検討も付かず内心焦っていると 男に気付いた女の子は驚いたようにこちらを見上げ、そしてドラマのセリフのようにつぶやいた。 「…だ、だれ…?」 女の子がこちらを向いたことで 泥棒はある事に気づいた。 その手にはこの家の中にあるはずのお宝が握られていたのだ。 そのピンクの塊は小さめの手には収まりきらず、煌々と輝きを放っている。 男は逃げることを忘れ そいつとその手の中の物にくぎ付けになった。 どうにかしたいと思った。 「君のハートとその手の中のモノを盗みにきたのさ」 柄にもない言葉を吐き キザっぽい笑みを浮かべてみた。
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