怪盗バレンタイン

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「いやよ。あなたにこれを渡すわけないじゃない」 女の子は、“君のハート”なんて言われたことを完全に無視して抵抗した。 か弱そうに見えた女の子が強い意志を見せたことに男は驚く。 次の瞬間、泥棒は泥棒らしい顔になった。 「ほんとは、女の子に手荒なまねしたくないんだけど…」 そう言うと女の子の体を押さえつけ、腕の中に収まっている物に手をのばした。 瞬間。 か弱いはずの女の子はそれを軽々すり抜け 反動で前のめりになる俺の手を取ったかと思うと、みぞおちに迷わず渾身の一撃を放った。 男はバランスを崩しあっけなくその場に倒れる。 激しい動きにポケットに入っていた貴金属が飛び出し派手に散り、夜景に反射して綺麗に光る。 それを見ていたか弱そう…ではない女は 泥棒に向き直り、ポケットから銀色に光るものを取り出した。 それを泥棒の両手に付ける。 女は楽しそうに 「タ・イ・ホ♪」とつぶやき 男に向かってウインクをした。
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