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いくつかのトンネルを抜けて、30分ほどで橋に差し掛かる。
(あっ……)
ブリッジから見下ろす位置にある海辺のホテルが視線に止まった。
それは……東条社長と一緒に食事したリストランテのあるホテル。
「どうした?」
私が、ずっと同じ場所を目で追っているのに気づいた佐倉さんに聞かれる。
「あ……いえ、何も……」
私は、そのホテルから視線を外した。
「海綺麗だろ?」
佐倉さんに言われて、ブリッジの下に広がる海を見る。
太陽の日差しを浴びて、水面が煌めいていた。
「はい、綺麗ですね」
東条社長と見たイルミネーションの美しさとはまた違う景色に、目を細める。
「橋を渡ってすぐのところに、サービスエリアがあるから、そこで一度降りよう」
そう言った後、佐倉さんの車は長いブリッジを走り続けた。
そして、渡りきってすぐの場所にあるサービスエリアに入っていく。
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