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「ここのシーフードパスタ旨いぞ」
佐倉さんに勧められて、二人でパスタを注文する。
カモメの置物が飾られた窓の向こうの景色を見つめていると、佐倉さんが言葉をかけてきた。
「少しだけ元気出てきたみたいだな」
「……えっ?」
そう言われて、彼の方に視線を向ける。
「今日、家に迎えに行った時、いつもと様子違ったから」
(……気付いてたんだ)
普通に振る舞ってたつもりだったのに、佐倉さんが気付いてたことに驚いた。
「分かるんですね……」
私の言葉に、彼は真っ直ぐ、私を見つめたまま答える。
「分かるよ。お前のこと、ずっと見てるから」
「……」
その言葉に、胸が小さく鳴って、思わず彼から視線を外す。
「お待たせしました」
そこへ、注文していたパスタが運ばれてきた。
真っ白な皿に盛り付けられたパスタは、エビやアサリが、たくさん入っていて、トマトソースに絡めてある。
「食べよう。冷めないうちに」
佐倉さんに言われて、私は頷いた。
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