5piece 見えない本心

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「あの……佐倉、さん?」 押し黙ったままの彼の方を見ると、怒りを滲ませた目をしていた。 「深く知るなって……『割りきって付き合え』って意味じゃないかよ!」 私の中で、モヤモヤしていた疑問を佐倉さんが、はっきりと口にする。 「お前、そうまでして、アイツと付き合いたいか?」 「……」 何を言っていいか分からず、うつ向いていると、不意に彼の腕が伸びてきて、私の肩に乗った。 「もう気づいてると思うけど」 佐倉さんの瞳が真っ直ぐ私を捉える。 「綾瀬。お前のことが好きだ」 そう言って、彼は私を引き寄せた。 「今すぐに、アイツから、お前を奪いたいくらい好きだ」 彼の顔が、近づいてきて……鼻先が触れ合うくらいの距離になる。 (佐倉さん……) 鼓動が早鐘を打って、顔が熱を帯びた。
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