243人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日。
出勤すると、菜々美がもう出社していて、私のところに来る。
「おはよ、結衣」
「おはよう、菜々美」
「これ、食べる?」
そう言って、差し出されたのは、シックな赤色の箱詰めのチョコレート。
「これ、今だけの期間限定チョコなの」
箱の中には、それぞれ形や色の違うチョコレートが並んでいた。
「ありがと。じゃ、これもらうね」
私は、薔薇の形をしたホワイトチョコを指先で取る。
「今年のバレンタインも、たくさんチョコばらまいたから、ホワイトデーが楽しみだわ~」
そう言いながら、菜々美は、ダークな色の四角いチョコを一つ口に運んだ。
「菜々美」
「ん?」
チョコを美味しそうに頬張りながら、菜々美が私に視線を向ける。
「菜々美は、誰かに本命のチョコあげた?」
「……えっ?」
唐突な私の質問に、菜々美が小首を傾げた。
最初のコメントを投稿しよう!