5piece 見えない本心

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「ん~、本命はないなぁ。でも、この人には、ちょっといいのとか。あの人には、1ランク上とか。それぞれランクはあるわよ」 菜々美のサバサバした言い方に、胸の奥が、小さく軋む。 「何で、そんなに割りきれるの?」 「結衣……?」 思わず出た言葉に、菜々美が驚いた。 そう……菜々美に当たるのは間違ってる。 だけど。 「そんな恋愛って、楽しい?」 「……結衣」 アーモンド型の綺麗な菜々美の目が、揺らいでいるのに気づいて、私はハッとする。 「ご、ごめん……」 彼女に謝った時、斜め向こうのデスクの椅子が引かれる音がした。 「おはよ。綾瀬、白石」 声の方に視線を向けると、スーツ姿の佐倉さんが出社してきた。 「おはようございます……」 挨拶をしながら、昨日、重なりかけた彼の唇を思い出して、私は小さくうつ向く。
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