5piece 見えない本心

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「何を騒いでいる」 その声の後、ドアが開いて。 東条社長が出てきた。 「……」 私と佐倉さんを見て、一瞬、社長の瞳が揺らいだけど、すぐに冷静な色を取り戻し、葵さんに視線を移す。 「葵。来客の準備を」 それだけ言うと、東条社長は、また部屋に戻って行った。 葵さんは、小さくため息をつくと、佐倉さんを見る。 「これから他社の重役が来るの。個人的なことで、ここで騒いでる場合じゃないのよ」 葵さんの言葉に、佐倉さんは私の肩から両手を下ろすと、無言で、その場を後にした。 「佐倉さん!」 彼の後を追って、エレベーターの前に立つ。 「私のことで、ここに来てくれたんですよね?」 「……」 「本当に、ごめんなさい……。私のことで、こんな風にさせちゃって」 相変わらず、佐倉さんは無言のままだったけど、エレベーターが到着した。
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