5piece 見えない本心

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エレベーターの中でも、彼はずっと無言のままで。 営業部のある階に、エレベーターが止まった。 「あの、佐倉さ……」 「行ってくる」 彼の小さい声を聞いた後、私だけ降りると、またエレベーターは下階に降りていく。 営業フロアに戻ると、緊張が一気に解けて、私はデスクに突っ伏した。 (何やってるんだろ、私) 余計な話をして、佐倉さんを巻き込んでしまった。 だけど、結局、これは私自身の問題。 東条社長とは、私が、ちゃんと話さないとダメだ。 そう思う一方で、さっき社長室から出てきた東条社長を思い浮かべる。 『葵。来客の準備を』 立花さんのこと、「葵」って呼んでたな。 ただの社長と秘書だったら、あんな風に呼ぶかな? 彼女のこと、ちゃんと聞きたい……。 他の人に頼ったって仕方ない。 社長と二人で話そう。
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