5piece 見えない本心

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夕方5時半頃、仕事が終わって。 私はバッグからスマホを取り出すと、東条社長の番号にかけた。 少しの間、呼び出し音が流れて。 「はい」 電話が繋がった。 「あ……あの、綾瀬です。さっきは、その……騒いでしまって、本当にすみませんでした!」 「……」 謝ったけれど、電話の向こうは無言。 気まずいなと思いながら、次の言葉を探していると。 「用件は、それだけですか?」 いつになく冷たい声が、スマホ越しに響く。 「……え、あ、あの」 「忙しいので、もう切っても構いませんか?」 「ま、待ってください!」 私は焦って、声をあげた。 「あの……近いうちに、ゆっくり話せませんか?ちゃんと話をしたいんです。二人で」 私の言葉に、少しの間、沈黙が続いたけど。 「分かりました。また、こちらからかけ直します」 機械的な声が響いてきた後、電話は切れてしまった。
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