5piece 見えない本心

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家着を着ると、濡れた髪も乾かさないまま、洗面所を出て、2階の自分の部屋に行く。 そして、ベッドの上に倒れた。 スプリングが、体を何度か押し返す。 布団に顔を埋めた。 『好きになりました』 低くて甘い声が、記憶の中で再生される。 だけど、あの後言われたのは、予想しない言葉だった。 「これからも、こんな夜を二人で過ごすために、守って欲しい約束が一つだけあります」 「……約束?」 不意に言われて戸惑う私に、東条社長は言った。 「それは、お互いを深く知ろうとしないこと」 「……!」 驚いて言葉を失う私。 「簡単なルールでしょう?」 そう言った彼の表情は、どこか無機質で、感情が見えなかった。 ……深く知ろうとしないって、どういう意味? 必要以上に踏み込むなっていうこと?
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