5piece 見えない本心

35/39
前へ
/39ページ
次へ
そして、二十分程して、再びスマホの着信が鳴った。 電話に出た後、私は、ビルのエレベーターに乗り、一階に降りる。 ビルの一階付近は、車と人通りで溢れているので、少し離れたところに、社長は車を停めていた。 「予定よりも遅くなり、申し訳ありません」 そう言いながら、東条社長は、車の助手席のドアを開けてくれる。 「いえ、大丈夫です」 答えながら、私は黒の車に乗った。 社長がアクセルを踏み、車が走り始める。 行き先を聞かれないので、反対に私から聞いた。 「あの、今夜はどこへ行くんですか?」 隣の社長が答える。 「ホテルです」 ホテル……。 また、この間のようなリストランテにでも行くのかな? でも、今夜は遅くなるから食べておくように言われたから、ホテルのバーとかに入るのかな? そんなことを思ううちに、私達を乗せた車は、駅前から遠ざかり、静かな道を走っていく。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

243人が本棚に入れています
本棚に追加