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そして、二十分程して、再びスマホの着信が鳴った。
電話に出た後、私は、ビルのエレベーターに乗り、一階に降りる。
ビルの一階付近は、車と人通りで溢れているので、少し離れたところに、社長は車を停めていた。
「予定よりも遅くなり、申し訳ありません」
そう言いながら、東条社長は、車の助手席のドアを開けてくれる。
「いえ、大丈夫です」
答えながら、私は黒の車に乗った。
社長がアクセルを踏み、車が走り始める。
行き先を聞かれないので、反対に私から聞いた。
「あの、今夜はどこへ行くんですか?」
隣の社長が答える。
「ホテルです」
ホテル……。
また、この間のようなリストランテにでも行くのかな?
でも、今夜は遅くなるから食べておくように言われたから、ホテルのバーとかに入るのかな?
そんなことを思ううちに、私達を乗せた車は、駅前から遠ざかり、静かな道を走っていく。
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