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好きだったら。
知りたいと思うのが当然じゃないの?
「ねぇ、結衣。そんな相手と、上手く恋愛出来るの?最後に傷つくだけじゃない?」
菜々美に言われた言葉が、不意に浮かんでくる。
(優しい言葉は、みんな上部だけのものだったの?)
私が、ただ舞い上がって冷静さを失ってただけ?
そうだよね……。
私みたいな単なる社員が、あんな人と釣り合うはずがないもん……。
やっぱり、立花 葵さんが本命の彼女なんじゃ?
考えれば考えるほど、悪い結論しか出てこなくて、私はそれから逃れるように、布団を頭から被った。
同時に電話を掛けてしまったと知った時。
何の根拠もないけど、運命を感じた。
そんな浅はかな自分が悔しくて……。
東条社長にではなく、自分自身の嫌悪感に苛まれながら、私は、少しずつ眠りの淵に落ちていった。
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