5piece 見えない本心

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  「結衣」 部屋のドアをノックする音が響く。 「もう、そろそろ起きてきたら?」 お母さんの声に、私は布団の中から答えた。 「……今日は休みなんだから、いいじゃない」 「休みだからって、もうお昼よ」 そんな時間だったんだ。 目が覚めた後も、ずっと布団にくるまりっぱなしだったから分からなかった。 「私は、これからお父さんと出掛けるけど、朝御飯、冷蔵庫の中にしまってあるから」 「……うん」 私が、そう答えると、足音がドアの前から去っていった。 いつもだったら、さすがに起きてるけど、今日はいつまでも眠れそうな気がする。 温かい布団の中で、また、うとうとしかけた時。 テーブルに置いてあるスマホの着信が鳴った。 (誰?) 一瞬、東条社長の顔が浮かんできて戸惑う。 どうしよう……。
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