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「結衣」
部屋のドアをノックする音が響く。
「もう、そろそろ起きてきたら?」
お母さんの声に、私は布団の中から答えた。
「……今日は休みなんだから、いいじゃない」
「休みだからって、もうお昼よ」
そんな時間だったんだ。
目が覚めた後も、ずっと布団にくるまりっぱなしだったから分からなかった。
「私は、これからお父さんと出掛けるけど、朝御飯、冷蔵庫の中にしまってあるから」
「……うん」
私が、そう答えると、足音がドアの前から去っていった。
いつもだったら、さすがに起きてるけど、今日はいつまでも眠れそうな気がする。
温かい布団の中で、また、うとうとしかけた時。
テーブルに置いてあるスマホの着信が鳴った。
(誰?)
一瞬、東条社長の顔が浮かんできて戸惑う。
どうしよう……。
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