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迷っている間にも、着信は鳴り響く。
「……」
私は迷いながらも、ゆっくりと布団から出て、テーブルの上のスマホに視線を落とした。
「えっ?」
ディスプレイに映っていたのは思いがけない名前。
私はスマホを手に取ると、電話に出た。
「佐倉さん……どうしたんですか?」
着信は、佐倉さんからだった。
仕事の連絡のために番号は交換してたけど、休日に彼から電話が来たのは初めて。
「あー、うん。今日は、仕事絡みで今から出るとこなんだけど。明日もし空いてたら、どっか行かないか?」
「……え」
突然誘われて驚いた。
「もう予定があるならいいけど……」
「……」
予定はないよ。
だけど……。
東条社長の顔が浮かぶ。
でも、きっと彼は。
私が、他の誰かといても、気にならないよね……。
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