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「家まで来てくれますか?」
「……え?」
聞き返す佐倉さんに、もう一度言う。
「明日、家まで迎えに来てください」
それが、明日OKってことだと分かった佐倉さんは、嬉しそうに声を弾ませた。
「ああ、もちろん!何時がいい?」
「佐倉さんの都合に合わせます」
「そっか。じゃあ、11時頃でいいか?」
「はい」
「どこか行きたいとこあったら決めといて。じゃあ、明日」
そして電話は切れた。
「はぁ……」
スマホをテーブルに置くと、ため息が漏れる。
落ち込んでた気持ちに流されて、思わず佐倉さんからの誘いを受けちゃった……。
もし、先週の土曜日、こんな風に誘われても。
絶対に行くことなんかなかったのに。
複雑な気持ちを胸に抱いたまま、私は自分の部屋を出ると、1階へ続く階段を降りていった。
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