5piece 見えない本心

8/39
前へ
/39ページ
次へ
そして、次の日。 部屋の姿見で服装をチェックしてると、テーブルの上のスマホが振動する。 「もしもし」 「あ、オレ。家のすぐ側まで来たけど」 「はい、今行きますね」 そう答えて、電話を切った。 リビングに降りると、お母さんが私を見て言う。 「あら、出掛けるの、結衣?」 「うん」 私は、冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出して、バッグに入れてから家を出た。 家のすぐ側に、シルバーの車が止まっている。 「綾瀬」 私に気づいた佐倉さんが、車から出てきた。 「おはようございます」 「おはよ。乗って」 そう言って、佐倉さんは助手席のドアを開けてくれる。 私が乗った後、彼も再び乗り、車が走り出した。 「どこ行きたい?」 聞かれて戸惑った。 思わずOKしてしまったデートだったから。 「えっと……佐倉さんに任せます」 そう答える。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

243人が本棚に入れています
本棚に追加