243人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、次の日。
部屋の姿見で服装をチェックしてると、テーブルの上のスマホが振動する。
「もしもし」
「あ、オレ。家のすぐ側まで来たけど」
「はい、今行きますね」
そう答えて、電話を切った。
リビングに降りると、お母さんが私を見て言う。
「あら、出掛けるの、結衣?」
「うん」
私は、冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出して、バッグに入れてから家を出た。
家のすぐ側に、シルバーの車が止まっている。
「綾瀬」
私に気づいた佐倉さんが、車から出てきた。
「おはようございます」
「おはよ。乗って」
そう言って、佐倉さんは助手席のドアを開けてくれる。
私が乗った後、彼も再び乗り、車が走り出した。
「どこ行きたい?」
聞かれて戸惑った。
思わずOKしてしまったデートだったから。
「えっと……佐倉さんに任せます」
そう答える。
最初のコメントを投稿しよう!