第1章

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「あ、恋ちゃん、昨日のドラマ見た?」 優しく私に話しかけるのは、幼なじみの一人、工藤藍。 とっても優しくて、頭が良くて、イケメンで、学校では王子様何て言われるほどの人気者。 「うん。見たよ。良いところで終わっちゃったよね~」 「ホントにね。」 「恋。」 私と藍君が話していると、低い声が割ってはいる。 「何?凛」 私はもう一人の幼なじみの方を向く。 彼は工藤凛。藍君の双子の弟。   藍君と同じ茶髪なんだけど、凛の方は暗めの茶髪。 藍君は明るい茶髪。 藍君と違って無愛想で無口で、顔は良いけど口も悪い。 けど、根はすごく優しくていい子って事、私は知ってる。 「今日の数学の宿題、やってんのか?」 ギクッ! 忘れてたーーー!!! 昨日は見たいドラマあって、その後ゲームして、寝ちゃったんだ………… 早起きしようと思ったんだけど出来なくて……… 「やっぱりか。」 凛は私の表情から察したのか、やれやれとため息混じりに言った。 「……………数学3限だろ。それまでに教えてやるよ。どうせ、早起きしてやろうと思ったけど、出来なかったとかいうパターンだろ。ったく、どこまで馬鹿なんだよ…………」 「ありがとうございます……」    毒舌。 馬鹿って………そんなに言わなくても良いじゃん。 確かに出来なかった理由はあってるけどさ……… 「こら、凛、なんでいつも恋ちゃんを馬鹿扱いするかな?そういうところも可愛いのに。」 こうなると、いつも絶対藍君がフォロー入れてくれる。 「…………………」 そして凛はそっぽを向いて無視。 よくあること。 学校に着く少し前、、藍君は女子に騒がれるため、別行動。 私と凛だけになる。 「藍君、毎朝毎朝大変だよね。」 「そうだな。」 「凛は人気なくて寂しいの?」 冗談っぽく言うと、 「はぁ?んな訳ないだろ!考えろよ。あんなの、面倒臭いだけだろ!大体、藍なんて優しいだけだろ。」    藍君の事を言うと、何故か凛は少し感情的になる。 やっぱり兄弟比べられるのって嫌なのかな。 私もお姉ちゃんと比べられるのってすごく嫌。 「けど、女子っていうのは単純で、優しくされるとすぐに勘違いしちゃうんだよ~」 「お前はしないのか?」 「え……………?」 何となく言ってみたら、割と真剣そうに聞かれた。 「まあね。藍君、好きな人いるし。」 そう。藍君には好きな人がいる。
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