0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「あ、恋ちゃん、昨日のドラマ見た?」
優しく私に話しかけるのは、幼なじみの一人、工藤藍。
とっても優しくて、頭が良くて、イケメンで、学校では王子様何て言われるほどの人気者。
「うん。見たよ。良いところで終わっちゃったよね~」
「ホントにね。」
「恋。」
私と藍君が話していると、低い声が割ってはいる。
「何?凛」
私はもう一人の幼なじみの方を向く。
彼は工藤凛。藍君の双子の弟。
藍君と同じ茶髪なんだけど、凛の方は暗めの茶髪。
藍君は明るい茶髪。
藍君と違って無愛想で無口で、顔は良いけど口も悪い。
けど、根はすごく優しくていい子って事、私は知ってる。
「今日の数学の宿題、やってんのか?」
ギクッ!
忘れてたーーー!!!
昨日は見たいドラマあって、その後ゲームして、寝ちゃったんだ…………
早起きしようと思ったんだけど出来なくて………
「やっぱりか。」
凛は私の表情から察したのか、やれやれとため息混じりに言った。
「……………数学3限だろ。それまでに教えてやるよ。どうせ、早起きしてやろうと思ったけど、出来なかったとかいうパターンだろ。ったく、どこまで馬鹿なんだよ…………」
「ありがとうございます……」
毒舌。
馬鹿って………そんなに言わなくても良いじゃん。
確かに出来なかった理由はあってるけどさ………
「こら、凛、なんでいつも恋ちゃんを馬鹿扱いするかな?そういうところも可愛いのに。」
こうなると、いつも絶対藍君がフォロー入れてくれる。
「…………………」
そして凛はそっぽを向いて無視。
よくあること。
学校に着く少し前、、藍君は女子に騒がれるため、別行動。
私と凛だけになる。
「藍君、毎朝毎朝大変だよね。」
「そうだな。」
「凛は人気なくて寂しいの?」
冗談っぽく言うと、
「はぁ?んな訳ないだろ!考えろよ。あんなの、面倒臭いだけだろ!大体、藍なんて優しいだけだろ。」
藍君の事を言うと、何故か凛は少し感情的になる。
やっぱり兄弟比べられるのって嫌なのかな。
私もお姉ちゃんと比べられるのってすごく嫌。
「けど、女子っていうのは単純で、優しくされるとすぐに勘違いしちゃうんだよ~」
「お前はしないのか?」
「え……………?」
何となく言ってみたら、割と真剣そうに聞かれた。
「まあね。藍君、好きな人いるし。」
そう。藍君には好きな人がいる。
最初のコメントを投稿しよう!