第1章

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当時運動が好きだった私は、男子にまじってサッカーしてた。 男子の中でもシュートを決めるほど上手な私は楽しんでいた。 けど、一部の男子はそれを良く思わなかった。 だからあの出来事は起きた。 サッカーボールが消えたんだ。 みんなで使っていたサッカーボール。 学年にひとつしかなかったから、それがなくなればサッカーは出来ない。 みんなで一生懸命ボールを探したけど、結局見つからなかった。 そして、互いを疑い始めた。 一部の男子は何故か私を指差して、私を犯人にしようとした。 そしてその日から、私に対するいじめが始まった。 上靴を隠されたり、体操服がどろどろになってたり、鉛筆が全部折られたり。 私も結構頭にきてた。 みんなが私を犯人のように疑っても、凛と藍君だけは信じて疑わなかった。 だからいじめの男子を全員呼び出して、一掃するつもりだった。 けど、あいつら、中学生を連れて来ていた。 しかも、柄の悪そうな人達。 私は一人じゃ太刀打ち出来なくて、けど、味方は誰もいなくて、結構な怪我をさせられた。 そこであいつらが自分で言った。 自分達がサッカーボールを隠したって。 その瞬間、怒りが込み上げた。 けど、私に力はない。 それがとても悔しかった。 その時に 「恋!」 私を呼ぶ大きな声が一瞬誰かわからなかった。 だって、昔から大声出したことなかったから。 凛が叫んだのは、これが最初で多分最後だ。 凛は私の側まで走ってきて、 「何してんだよ?」 低い声で男子達を睨みつける。 その時の凛は私も見たことがなくて、本気で怒っているように見えたし、怖かった。 けど、すごく嬉しかった。 「恋が戻って来ないと思ったら。」 「恋がボールを取ったから、どこか言えって言ってただけだ!」 男子の一人が言うと、他の男子もそうだそうだと抗議する。 「恋がボールを取る訳ないだろ!常識的に考えろよ!馬鹿じゃないのか?」 その言葉はずっと私を信じていてくれたっていう証拠で、すごく嬉しくて、涙が出そうだった。 そのあとの凛は早かった。 あっという間に男子を一掃して、サッカーボールを取り返した。 藍君が先生を連れて来る頃には、男子達はみんな大泣きしてた。 先生は男子達をすごく叱って、後日その男子達の母親がうちに謝りに来たのを今でもはっきり覚えている。
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