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彼は温かかった 手袋を着けさせた 小さな手は 私の手をぎゅっと握りしめ 薄暗い道を歩いて 電車を見に行った 彼は温かかった 踏切の側で 彼の背では まだ見にくいだろうと その体を抱き上げた そのほっぺたは冷たく 瞳は らんらんと輝いていて 駅の近くの踏切だから 次から次へと通り過ぎる電車を見るために 右へ左へ体が動く いつの間にか重たくなっていた 彼の体をぎゅっと抱きしめ ほっぺたとほっぺたを合わせた 「へへっ」 と笑った彼は温かい 心も 体も ぎゅっと抱きしめ返されて 私は冷たい風を感じた 《 Um mein Licht ~私の光へ 》 20160216
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