第1章

2/3
前へ
/3ページ
次へ
一戸建ての家が建ち並ぶ静かな住宅街。 その中の一軒。 2階の自室の勉強机の前の椅子に座り、夜空を見上げ、クラスの女の子の裸を想像しながら中学生の雅人は、自家発電の真っ最中であった。 絶頂寸前の雅人の目に、夜空を横切る流れ星が映る。 雅人は勉強机に向けて発射しながら、流れ星に願い事をした。 「(透明人間にしてください)」 願い事をしてから雅人は我に返り、勉強机の上や周りに飛び散った、自身から出た白濁の液体をげんなりした表情で眺め、後始末を始める。 後始末を終えた雅人は、願い事をした事も忘れ眠りに付く。 だが雅人の願いを、愛機流れ星号と共に世界中を駆け回っていた神様が聞き遂げ、願いを叶えてやっていた。 早朝、雅人は、窓の外から聞こえて来た悲鳴で目を覚ます。 「キャァァァァ――――」 「ヒィィィィ――――」 雅人は外から聞こえて来る悲鳴で目を覚まし、右手で目を擦ろうとして気が付く。 右手が見えない。 慌ててパジャマを脱ぎ捨て、自身の身体を見下ろす。 身体は存在しているのに見えなくなっている。 雅人は昨晩、流れ星にお願いした事を思い出していた。 「ヤッタ――! 誰が叶えてくれたか知らないけど、ありがとう」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加