第1章

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喜ぶ雅人の耳に、階下から両親の悲鳴が響く。 「キャア――」 「ウワァァ」 雅人はパンツ一丁で階下に駆け下りた。 悲鳴が聞こえた居間に駆け込んだ雅人の目に、両親のパジャマが抱き合う格好で浮かんでいるのが映る。 パジャマはお互いを支えるように抱き合い、テレビを見ていた。 テレビの画面にはスーツだけが映っている。 「本日未明、突然全人類が透明人間になりました。 これにより全世界でパニックが発生し、国によっては暴動が発生しています。 国内においても、首都圏を中心にパニックが発生しており、政府は自衛隊に出動命令を出すと共に、国内全域に外出禁止令を発令。 外出中の方は速やかに家にお戻りください。 ……………………………………………………」 雅人は唖然としてテレビを見続けていた。 雅人の願いを聞き叶えた、長い年月を生きて来た年寄りの神様は、最近年のせいか耳が遠くなり呆けて来て、雅人個人の願いを人類全体の願いと勘違いしたのが、事の真相である。
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