透明人間当選

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 俺は何の特技も持たず、何も考えず毎日惰性で過ごしている只のサラリーマンである。  早朝、目覚まし時計が鳴り響いた。今日は会社が休みのため、開店前のパチンコ屋に並ぶべくアラームをセットしておいたのだ。  目も開けず、定位置にある目覚まし時計に手を伸ばしアラームを止める。今日もお決まりの休日が始まると思っていた。  しかし……  目を擦りながら上半身を起こし、ふとベッドの横にある鏡を見ると、そこにあるはずの自分の姿が無かった。 「えっ?」  驚いて二度見したけどあまり意味がなかった。だって映ってないんだから。  しかも鏡の中だけじゃなく、この空間に俺の姿は存在していなかった。  突然の出来事に恐怖を覚え、心臓の鼓動が速さを増してくるのを感じた。  これ夢……だよな。  俺は確めるため、頬を思いっきりつねった。これでもかってくらいつねった。  頬に痛みは……  あった。っていうかめちゃくちゃ痛い。  そして痛みを感じたその瞬間――突如、この空間に俺の体が姿を現した。 「えっ?」  自分に何が起きてるのか、全く理解が追い付かない。
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