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私に窘められて引っ込めた手をまた伸ばしてきた悠貴は、今度は髪ではなく頬へとそれを運んだ。
緩く拳にしかけた悠貴の指。
その人差し指と中指の関節あたりで、触れるというより撫でるように。
「真っ赤」
「うるさい」
「何かさ、今日どうしたのお前」
「何が」
努めて冷静に対応しようとしながらも、意識的にそう努めなければ冷静を保てない自分に気づいている。
表情と同じように優しく撫でる悠貴の指から逃れるように顔を逸らして、フォークをばくりと口の中に入れながらじとりと睨んでみた。
でもだめだ、悠貴の表情は変わらない。
変わらないどころか何故かものすごく満足そうな微笑みまで浮かべだした。
「下行った時から思ってたんだけど」
「……何」
「今日すっげ可愛いんだけど」
「何言ってんの」
「俺が声かけた時びくついたりさ。目合ったらほっぺ赤くなってるし」
「びくついたりなんか」
「してたじゃん。びくって。意識しまくって顔も逸らすし。今もだけど」
「………」
「おまけに目まで潤んでたりするからさ。つい、ね」
「ばかじゃないの」
手首を掴まれた時からの悠貴を思い出す。
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