第一章 後輩

13/19
前へ
/114ページ
次へ
「……なんか、ヤバいね」 「何が?」 「紫さんがエロい」 「は?」 「ジャケットにワイシャツとか、マジでヤバい」 「……意外な趣味だね」 「いつもオフだったじゃん。オンの服装で会ったの初めてだから」 「そうだっけ?」 「うん」  最後まで丁寧にボタンを外し終えると、私の髪とソファの間に右手が滑り込む。  つまむようなキスをしたと同時に、左手で素早くワイシャツを腕から抜き床に落とした。  右手はまた私の左耳へと動き、先ほどのように優しく触る。器用な左手は背中へと回りそこにあるホックを外そうと動く。  左の肩甲骨。  その下にある窪みに、晴己の手が触れた。 「痛っ」  短く叫ぶと、弾かれたように身体が離される。 「えっ、痛かった? ごめん。俺爪そんな長くないんだけど」 「ううん違うの、晴己のせいじゃないよ、ごめんね」 「いや、でも……一応見せて?」  心底心配そうな表情を浮かべた晴己は起き上がるように促し、私も素直にそれに従う。  向かい合った晴己の胸にもたれ、素直に背中を見せた。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加