第一章 後輩

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 中学や高校までのそれに比べたら、大学という場所は開放的なように思う。  しかしいざ学生と呼ばれなくなってから訪れてみると、やはり見えない壁というものの存在を感じざるを得ない。  勿論、それはこちら側の気持ち次第ということもあるのだろう。  自意識過剰であるとはわかっている。  しかし周囲に居る学生たちと自分とでは『何か』が違ってしまっているように感じる。  社会人になったからといっていきなりしっかりするわけでもないし、遊びの時間だってきっちり取っている方が当然だ。勿論夏休みなんていうある種独特な長期休みはないものの、大学生が特別ふざけているなんて思わない。  あの頃の自分も、遊びながらそれなりに悩んだり真剣だったこともある。  今の自分があの頃より大人で真面目だなんて思っていない。  何が違うんだろう?  ……負う責任、とかだろうか。
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