第一章 後輩

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 そんなことを考える事自体、まだまだ自分が青臭い証拠でもある気がする。  まず、学内に在学生以外の人間が居ようが居まいが学生たちにとってはどうでもいい事だろう。私もそこまで他人に興味がなかった。  だからこの疎外感は、あくまで勝手な思い込みという事だ。  トートバッグを握ると同時にこっそりと気合も入れ直して歩みを進める。  二階建て図書館の一階。  全面ガラス張りでその一画を陣取っている『パソコン室E』が向かう先だ。  ちなみにこの図書館にあるパソコンルームはここだけなのだが、どうしてAではなくEなのかは謎だ。  小さく深呼吸して自動扉の前に立つと、シュッという静かで迅速な音と共にスライド式の自動扉が開き、中にいたうちの数人がちらりとこちらを見る。  しかしすぐに視線は各々の目の前へと戻った。  空いている席は数席のみ。  それでも空いているだけ幸運だったかもしれない。ここのパソコン室は常にと言っていいほど満席なことが多いのだ。
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