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ラグビー部が列になって走るグラウンドを横目に抜けると、道が左右に分かれる。
左に向かうと食堂や生協が入っている学生会館と正門しかない。
そちらへ行こうとした私の腰に晴己の手が回った。
「もう帰っちゃうの? 俺に会いに来たんじゃなかった?」
恋人とは呼べない――が、少なくともこんな風に断りなく身体に触れても良い程度の仲、である。
腰に回った手が落ち着きなくそこを這いまわるような動きになったのに気付き、軽くその手をつねってみた。
右眉をしかめた晴己は手を引っ込め、唇を軽く尖らせる。
可愛らしい顔立ちにこういう可愛らしい仕草が似合う事を、晴己は絶対にわかっている。
わかった上でやっている。
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