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パーティーで「アピールしたい相手に渡してください」といって事前に配られていた名刺大のカードだ。
学生時代の友人はほとんどがすでに家庭を持っている。
たまに会っても子どもの学校や塾の話なんかを聞かされて、
ちっとも興味が持てなくて浮いてしまうあさ美だ。
職場でも年々独り者の同僚は減っていくばかり。
独身の先輩に会えたのがなんとなく心強い気分になり、
さっそく連絡してみたのだった。
頼子は旅行会社で仕事をしているという。
学生時代から得意だった英語を生かして、
海外ツアーの添乗員をしているのだ。
久しぶりに会った二人だが、
すぐに気分は高校時代のノリに戻っていた。
変わったのは、
コーラス部でアルトだった頼子の声がバスにシフトしていることだろうか。
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