2 再会と出発

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海外添乗の仕事は時間も不規則だし、 留守にすることが多いからなかなか彼氏もできない、 と頼子は言った。 最後の彼氏とは三年ほど前に別れてそれっきり、 と。 「別れたっていうか、 消えた。 消えられた、 ってとこかな」 「逃げられたってこと?」 なんでも12日間のツアーに添乗して、 帰ってきたら音信不通になってしまったとか。 ストーカーみたいにはなりたくなかったし、 数日後にも次の出発が控えていて忙しかった。 深追いはせずにそれっきりにしたらしい。 「そのツアータイトルがさ、 『陽光のバルセロナと哀愁のアンダルシア』っていうの。 帰ってきてからのほうがよっぽど哀愁だっちゅうのよ」
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