4498人が本棚に入れています
本棚に追加
それに、二人だけの祝いの席が、大将の
店なんて、俺達らしくて良いかもしれない。
苦笑するはなの手を肘にかけ、腕を組んで
公園を出る。
「はな、どうかした?」
名残惜しそうに立ち止まって振り返る
はなに問う。
彼女の視線の先には、黄色いタンポポが
明かりを灯したように薄暮に浮かんで
いるのが見える。
タンポポのようになりたいと言ったはな。
彼女が目標とするあの小さな花に、心ひそかに誓う。
これから人生をかけて、彼女という花が
萎れぬよう全力注いでいくと。
「何でもないです。行きましょう、今日は
わたしのおかずを取らないでくださいね」
そんな事を思っているとは知らないはなが、
悪戯な表情で俺を見上げる。
「それは約束できないな」
軽口を言い合い、微笑みを交わしながら
公園を後にする。
腕にかかるこの重みと温もりに、
幸せを感じながら。
最初のコメントを投稿しよう!