10・エピローグ~はなのために

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それに、二人だけの祝いの席が、大将の 店なんて、俺達らしくて良いかもしれない。 苦笑するはなの手を肘にかけ、腕を組んで 公園を出る。 「はな、どうかした?」 名残惜しそうに立ち止まって振り返る はなに問う。 彼女の視線の先には、黄色いタンポポが 明かりを灯したように薄暮に浮かんで いるのが見える。 タンポポのようになりたいと言ったはな。 彼女が目標とするあの小さな花に、心ひそかに誓う。 これから人生をかけて、彼女という花が 萎れぬよう全力注いでいくと。 「何でもないです。行きましょう、今日は わたしのおかずを取らないでくださいね」 そんな事を思っているとは知らないはなが、 悪戯な表情で俺を見上げる。 「それは約束できないな」 軽口を言い合い、微笑みを交わしながら 公園を後にする。 腕にかかるこの重みと温もりに、 幸せを感じながら。
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