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ちょっと冷静になってくれる? 言ったよね? おじさんは今、実態のない存在なんだって。
「だから、それで人の胸を刺しても死なないから。おじさんと同じ状態になるだけ」
――つまりは透明人間になるだけ。少年は笑みを絶やさない。
「とにかく話進めるからね。もう一度言うけど、選択肢は3つだからね。まずは、その1――」
少年は人差し指を立てる。
「あなたの愛してる人を刺す。この場合は、めでたくおじさんを極楽浄土にご招待」
「僕が……死ぬってことなのか?」
「ま、そういうことだね。安心して、極楽浄土だから。地獄じゃないから住みやすいしね。で、二つ目」
今度は人差し指を立てたまま、中指も立てる。
「おじさんの一番憎んでいる人を刺す。この場合は、おじさんは、体に戻れて人生再開です」
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