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「なんだ……ちゃんとした選択肢があるじゃないか」
ホッと胸を撫で下ろす。
「ただし、この場合、一つの権利と一つの義務が生じるから」
「権利と義務?」
「そう。権利は、何でも一つ僕に質問をする権利。一回だけどんな質問でも答えてあげるよ。例えば、30年後の日本経済はどうなっているのかとか。もっと身近だと、次の競馬のJ1レースの結果とか。あとは、何歳まで生きることができるとかでも」
より取り見取り。質問考えるのって楽しいよね。
「じゃあ、義務は?」
「おじさんに一つだけ不幸なことが降りかかっちゃうんだ。つまり不幸を受ける義務。具体的なことはごめんだけど僕も知らない。近親者が事故で亡くなってしまうという場合もあるし、ただ道路で転んで、膝を擦りむいちゃうって、不幸と言ってもいいかどうか分からないような小さい時の場合もある。ようは、事の大小は、その時になってみないと分からないってこと。ロシアンルーレットみたいで楽しいでしょ」
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