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ビルが屹立している。見えている空は狭い。空色と称して良い青が見えるのはほんのわずかで、大半は刷毛でなぞったように巻積雲が覆っている。
天気が悪いわけではない。いわゆる秋晴れ。心地よいはずなのに、違和感の方が強い。
天を見上げているのではない。空が真正面に見えるのだ。天地の感覚が掴めない。現に足には何の感触もない。
背中が何かに接している。そこで臥していることにようやく気づいた。どうして?
ぼんやりとして上体を起こすと、すぐ横は大通りだ。片側3車線の道。交通量だって多い。自分はその通りの歩道の真ん中にいた。
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