五臓六腑に染み渡る

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 まさかこんな早く? 病院を抜け出すまでに少々手間取った。高橋に先越されたのかもしれない。 「ありがとうございます」  僕は彼女の家へと向かった。今度は南武線に乗り、武蔵中原駅で降りる。瞳は実家暮らしだ。駅から徒歩20分。僕はとにかく走った。嫌な予感が僕を走らせていた。  そして彼女の家が見えてくる。 「そんな……」  想像だにしない光景を目の当たりにする。  白と黒の幕。竹田瞳告別式と書かれた看板。  足から力が抜ける。その場にへたり込む。大きく肩が上下していた。耳からは自分の激しい呼吸音しか聞こえない。  もし、高橋がナイフを彼女の胸に刺したとしても、彼女は死なないはずだ。そう聞かされていた。なのに、どうして。
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