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「残念だったね」
背後には少年。
「どういうことだ。ナイフで刺したとしても、死なないんじゃないのか?」
嘘を付いてたんじゃないだろうな。僕は少年を睨みつけた。
「まさか。嘘なんて一切付いてないよ。もし、僕が嘘をついていたら、おじさんの刺した人は、死んじゃうことになるよね。だったら誰も刺せないでしょ。それに、刺されていきなり告別式もおかしくない?」
そうか。そう思って項垂れる。
「だったら、どうして瞳は死んだ?」
「それって、権利を使うっていう解釈で良い? 一つしかない権利だからね。後でしまったって思わない使い方してね」
少年はあくまでもニコニコとしていて、その笑みが今は憎くて仕方がない。
「なんでも良い。頼む……教えてくれ」
権利の有効活用なんて、今は微塵も考えられなかった。
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