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こんな所で大の大人が寝転がっていれば、さすがに邪魔なばずだ。それなのに、誰もが僕のことを気にしている様子はない。皆が一心不乱に迷いなく歩を進めている。
都会ならではの他人への無介入という奴だろうか。それでも少しばかり度が過ぎているのではないか。
周囲を見渡せば、ビルの合間からコクーンタワーが見えた。顔の向きを変えれば東京都庁舎もある。
――新宿だ。しかし、どうして新宿なんかにいて、さらに歩道で横になっているのか。
僕はよろよろと立ち上がった。
昨日は、仕事から帰って、まっすぐに自宅に戻ったはずだ。
それから――思い起こそうとして、不意に頭痛に襲われる。ちょっとやそっとの頭痛ではない。あまりの痛みに頭を抱えてうずくまるくらいの。
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