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「――以上が透明化実験成功被験者兼前研究責任者である籐佳(とうか)博士の当時の映像です」
スクリーンに映し出された映像が途絶え、見ていた白衣の男はため息をつく。
「別に映像は必要なかっただろう……」
「一応視覚的情報もあった方がより十全に伝わりやすいかと思いますので」
椅子が映し出されていただけであり、後はただひたすら音声だけが流れ続けていただけの映像。
それが何を意味していたのかは言うまでもないこと。
「透明な人間をどうやって人間だと証明するのか……か。そしてこれがその『哲学的透明人間』になったあの変人、藤佳博士の答えね」
「籐佳博士は身体透化薬服用後その副作用により死亡が確認されるまでこのような透明人間についての持論を語っておられました。これはその一部です」
「それは口惜しい。一度はこの状態の博士と議論を組み交わしたかったものだよ」
そうか、亡くなったのか。
と呟く。
透明人間が人間であるという証明についての議論。
証明できない存在を証明する議論。
「そして俺にこの『哲学的透明人間』の答えを探ってくれと言うわけか。いやいや、これはもう籐佳博士が出したこの方法以外証明する手段はないと思うがね」
「博士が行った証明方法とは一体何なのですか?」
「この映像の通りだよ。哲学的透明人間になった籐佳博士が自身を今だ人間であるということを証明するためにその命が尽きるまでずっと……」
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