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 立派な仏壇は爺ちゃんの写真と――母さんの写真。  母さんが死んでから四年。 毎日欠かさず頭の中で、心の中で話している。  線香を立てて、控えめにりんを鳴らして手を合わせる。  ただいま母さん、今日もシオリは元気過ぎです。 これって母さん似?  ちらっ、とシオリを見ると同じようにしていて、鳴り終えたと同時に手を振る。 なんかいつも、振っている。  あー……今日は課題が多――。 「――いでででで!」  と、後ろに倒れそうになって俺は畳に手をついた。 シオリが俺の髪の毛を引っ張っているのである。 まるで綱引きのように。 「ご飯まで遊ぼ! 隠れんぼ!」  痛くてそれどころじゃ――。 「――『真っ黒さん』も待ってるんだよ!」
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