02.なんか王道と違うような。

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「今なら…今ならこの門を飛び越えられる気がするぞ…」 隣にいる、恐らく″王道転校生″だと思われるそいつはブツブツと1人で呟いている。正直すげえ怖い。 「…よし、いまだーー!」 「ちょ、ちょっと待てって!」 「ぐえっ、」 そして唐突に門に向かって走り出そうとするそいつを止めようと、無意識で襟元を掴んでいた。いや無理だろ! いやしかし、母さんに持たされたBL本(と言う名の予言書)には王道転校生は門を飛び越える習性があるって書かれていた気もする…… そして俺のせいで首が絞まったそいつはカエルが潰れたような声を出して振り返った。 「な、なにすんだよお前ー!首しまったぞ!謝れよ!」 「いや、あの、…ごめん?危ないかと思ってつい……」 「なんだよ、心配してくれたのか!?お前いいやつじゃん!でもお前誰だ?」 俺が素直に謝ると、そいつは一転してバシバシと俺の肩を叩くと大口を開けて笑う。 い、痛い…そして声がでかい…… ていうかずっと隣にいたのに気づいてなかったのか。 「俺は斎藤。斎藤刹那。転入してきたんだ」 「へえ~セツナっていうのか!名前も綺麗だな!俺は朝陽って言うんだ!よろしくなー!」 顔をほとんど覆い隠すぶ厚い眼鏡と前髪で口元しか見えないけど、友好的な印象を受けた。 きっと悪いやつではないんだろうけど声のボリュームを下げてもらえるととても助かる…
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