02.なんか王道と違うような。

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「お取り込み中失礼致しますが。貴方達が転入生ですね?」 不意に投げかけられた問いに門の向こうを見やると、綺麗なブロンドの髪を一つに括り、ノンフレームの眼鏡をかけた美人さんがいらっしゃった。 いや、男なのはわかるんだけど! なんていうのか、造形美? 思わずなにも言えないでいると無言を肯定と捉えたのか、美人さんが門を開けてくれた。 「ありがとうございます」 門をくぐりお礼を言うと、その人は体裁良さそうに微笑んだ。 …俺たちを迎えに来たってことはこの人が例の″腹黒副会長″ってやつか?愛想笑いすることに慣れているのか、特別な違和感はなにも感じられない。 それにしても凄い。王子様のような風貌だ。 いつまでも見ていたくなるような人だと思ったけど、あんまりジロジロ見ても失礼なので俺はそっと目線をずらした。 いやあ、王道転校生に(腹黒)副会長のお出迎え。 ここまで予言書の通りだ。 「なあ!お前はなんでそんな嘘くさい笑い方してるんだ?笑ってないで言いたいことがあるなら言えよな!」 一瞬 初対面の、しかも明らかに先輩にお前呼びは良くないだろう朝陽くん…って思ったけどそういえば予言書でもこんな流れだった。なんなの?みんなあの予言書熟読でもしてきてるの? そして副会長に気に入られた所から王道転校生のめくるめく総受けライフが始まるらしい… あ、なんかだんだんそういう単語とか流れが理解できるようになってる自分が嫌だ!! 「……ずいぶん礼儀がなっていないようですね。会って数分の貴方に何がわかると?」 なーんてくだらないことを考えていると、なにやら雲行きが怪しくないか? 怒気を含んだ副会長の声に驚いて我に帰る。 え、なに、? 予言書にはこんなこと書いてなかったよな…?
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