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「ただいまー」
俺が学校から帰宅すると、見慣れない靴が玄関に並んでいるのに気づいた。
何気なくリビングを覗くと、ちょうど紅茶を持って来た母さんと、ソファーに腰掛けている上等そうなスーツを着た人物が目に入った。
あの、後ろ姿は…!
思わず勢い余っておもいっきり強くドアを開け放ってしまった。
「慧くん!」
俺の言葉に振り返ったその人はやっぱり予想通りの人で。慧さんは俺の姿をみると優しい笑みを浮かべた。
「おかえり、セツ」
「あら。せっちゃんお帰りなさい。ナイスタイミングよ!お話があるから座ってちょうだいな」
いきなり飛び込んできた俺に驚くことなく俺を手招きする母さんに従ってソファーに近づくと慧さんの手が伸びてきた。
「ほんと久しぶりだな。また格好良くなったんじゃないかー?」
そう冗談まじりに言って優しく頭を撫でてくれる慧くん。それに頬が緩んでしまうのは仕方ない。だって嬉しいんだもん!慧さんは俺の叔父さんにあたる人で昔からよく遊んでもらっていた。
「慧くんこそ相変わらず格好いいよ!」
「はは、セツにそう言ってもらえるなら俺もまだお兄さんで通るかな。ほら、こっちにおいで」
慧さんは軽く笑うと、自分の隣を軽くポンポンと叩いた。
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