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「………邪魔したな」
「待っって!!ストップ、ストップ!閉めないでぇー!!!」
ドアの前で立ち尽くす人と目が合い、お互い数秒フリーズしてしまった。
ハッとしたように扉を閉めようとするその人に慌てて静止をかける。それはもう全力で。
俺の必死さが伝わったのか戻って来てくれたその人は上に乗っかっていた寮長をぺいっといとも容易く投げ捨てた。
「いたた…も~タイミング悪いなあ、りょーちゃん!邪魔しないでよね~」
「ほんとたすかったあ~…ありがとうございます」
寮長の戯言は聞き流すことにして。
助けてくれた人物を見上げると随分とおおきく、身長190はありそうだ。寮長の知り合いのようだし恐らく先輩だろう。
「いや、すぐに助けられなくて悪かった。その、…そういうプレイなのかと思ってだな……」
「……………忘れてください」
先ほどのだだっ子のような姿を指しているのを察して今すぐ穴に埋まりたくなった。
向こうも気を使ってくれているのか言いにくそうなのが余計に居た堪れない。
寮長はというと人様に迷惑をかけるんじゃない、とゲンコツを喰らっていじけている。
「こいつが迷惑かけて悪かった。俺は高崎良平、2年だ。よろしくな」
「いやそんな…助けていただいてありがとうございました。おれ、転校してきた斎藤刹那っていいます」
よろしくお願いします、と笑うと高崎先輩は僅かに目を張ってちらりと寮長の方へ視線を向けた。
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