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「ん?…ああ、残念ながらりょーちゃんの同室の子はもう1人の子だよーん」
「…そうか」
視線の意味を汲み取ったらしい寮長の言葉に高崎先輩は落胆の色を滲ませた。
なんの話なのか分からずにいると寮長が含み笑いをしながらおれの肩をたたく。
「りょーちゃんずっと1人部屋でねー、今回同室者が出来るってことで転校生が来るの楽しみにしてたんだよ~こんな図体してウケるよねぇ!」
「別に楽しみなんて言ってねえだろ!適当ぬかしてんなよ」
「ええー?じゃあ何しに寮長室きたのさ?てっきり僕は同室者待ちきれなくて来ちゃったのかと思ったけど?違うのかな?」
「、ってめぇ今日こそブン殴る…ッ」
「わーいやったね!!」
高崎先輩の鋭い眼光を物ともせずケタケタ笑っている寮長に底知らなさを感じてできれば相手にしたくない。
縛られるのが好きなんだと思っていたけど殴られるのも許容範囲らしくまるでゾンビだ。無敵なんじゃないかと思う。
「ま、まあ高崎先輩もその辺に…ッ!?」
「……いまなんて言った」
恍惚とした表情で高崎先輩の足に縋り付いている寮長が目に毒なのもあり、そろそろ止めに入ろうと声をかけると言い切るより前に勢いよく高崎先輩がこちらを向いた。
感情の読み取れない静かな声に頭をフル回転させる。
な、名前間違えた?それとも止めに入ったのが気に食わなかったのだろうか。
正直突然すぎてめっちゃビビっている。
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