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い、いっちゃった…
ちょっとした遊び心というか、冗談のつもりだったのでまさか出ていってしまうとは思っていなかった。
追いかけたほうがいいかな…?
「アッハハ、いーよ気にしなくて斎藤くん」
りょーちゃん面白いよねー、とけらけら笑う寮長にぎょっとする。
良平先輩にゲンコツくらって沈んでいたんじゃ…
「りょ、寮長生きてたんですね…」
「ああ、りょーちゃんにはいつも殴られてるから余裕余裕!」
良平先輩の拳を受けてあんなことを言える寮長はやっぱり只者ではない。
だってすごい音してたもん、頭が凹んでいても不思議じゃないレベル。
というか寮長が殴られるような態度を改めればいいのでは…いやでも寮長にとってはそれもご褒美なのか、厄介だな…
「りょーちゃん友達あんまりいないけど面白いコだから斎藤くん仲良くしてあげてねん」
「そりゃこちらこそって感じですけど…なんで良平先輩みたいな人が友達いないんです?」
「アハ、そのうちわかるよ~~」
良平先輩見た目怖いけど良い人だし後輩からも同級生からも頼られそうだけどなあ。
いささか信じられない話だけど寮長の意味深な笑みに言葉は飲み込んだ。
「もちろん僕とも仲良くしてねえ~、次は逃がさないよ」
「お邪魔しましたあ~~!」
寮長に投げキッスされた俺は速攻回れ右してドアへと走った。次が無いことを祈るしかない。
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